不動産の遺産相続は要注意!?知っておきたい「4つの遺産分割方法」

 
不動産相続

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遺産相続が始まり、相続人が複数いる場合は、遺産をどの様に分配するかを相続人全員で話し合いをして決定します。(遺産分割協議)

 

遺産の内容、相続人同士のコミュニケーションの密度によっては、短期間でまとまる遺産分割協議もあれば、なかなかまとまらない場合もあります。

 

特に遺産の中に不動産が含まれている場合は要注意で、不動産の遺産相続をいかに乗り切るかが、一つのポイントではないかと思います。

 

今回は、遺産の中に不動産が含まれている場合の「4つの遺産分割方法」を例に、考えてみたいと思います。

 

相続財産の金額の構成比から見る不動産の割合

 

まずは、遺産相続における、不動産の割合がどの位あるのか、国税庁の「相続財産の金額の構成比」を参考にみてみましょう。

 

平成27年度「相続財産の金額の構成比の推移」

  • 土地38.0%、家屋5.3%で合計「43.3%」
  • 現金30.7%、有価証券14.9%、合計「45.6%」
  • その他「11.0%」

(課税対象となっている相続の内訳)

参照元:国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について」

 

相続財産の金額の構成比の推移

 

下のグラフは、平成18年~平成27年の相続財産の金額の構成比の変化です。

 

相続財産の金額の構成比の推移

参照元:国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について」

 

年々減って来てはいますが、まだ土地と家屋(かおく)、つまり不動産の遺産が、意外と多くの割合を占めている事が分かります。

 

不動産が関わる相続が揉める理由

不動産相続が揉める理由

相続での各相続人の「法定相続分」は民法によって、決められています。

 

被相続人が残した遺産の多くが、不動産のような「固定資産」の場合は現金の様に簡単に分けることができません。

 

不動産は、高額になる傾向があるので、相続人の誰か一人が不動産を相続してしまうとバランスが崩れてしまい、誰が相続するのかまとまらずに、相続トラブルが起きやすくなります。

 

相続を円満に終わらせる為には、遺産の内容や相続人の状況により、適切な「遺産分割方法」を選ぶ必要があります。

 

こちらでは、どの様な遺産相続方法があり、どの様な内容の相続に向いているのかを見て行きたいと思います。

 

遺産を分割する4つの方法

1、現物分割(げんぶつぶんかつ)

2、代償分割(だいしょうつぶんかつ)

3、換価分割(かんかぶんかつ)

4、共有分割(きょうゆうぶんかつ)

 

遺産分割の方法は、主に上記の4つがあります。

 

それでは、「4つの遺産分割の方法とメリット・デメリット」を順番に見ていきましょう。

 

1、現物分割(げんぶつぶんかつ)

現物分割

 

現物分割は、遺産をそのままの形で相続分に応じて分割する方法です。

 

遺産分割は、可能な限り「現物」のままで相続人に承継させる事が望ましいとされています。

 

具体的な例

  • 不動産(実家の土地や建物)→配偶者が相続してそのまま住む

 

  • 商売や事業の権利や株式→長男が相続して事業を続ける

 

  • 動産(自動車)→独立した次男が相続する

 

  • 高価な美術品や宝石→結婚した長女が相続する

 

現物分割は、上記のように、現物を分け、誰が何を相続するかを決める方法です。

 

現物分割のメリット

・誰が何を相続するかが決まれば、分割の方法が簡単

・分割内容が分かりやすい為、相続で揉める事が少ない

・分けると価値が下がる財産の価値を下げずに残せる

現物分割のデメリット

・不動産の価値が他の財産の価値を上回る場合は相続人間で不公平が生じる

・一人でも反対する相続人が居る時は、現物分割を行えない

現物分割が向いている相続

・誰が何をどの位相続するかが決まっている場合

・相続人全員の理解が得られる相続の場合

 

2、代償分割(だいしょうつぶんかつ)

代償分割

 

代償分割は、分割が難しい、不動産を相続人の一人が相続し、その「代償金」として残りの相続人に支払う分割方法です。

 

現物分割同様一人の相続人が単独で不動産を相続しますが、大きな違いは、他の相続人に「代償金」を支払う必要がある事です。

 

代償分割の例

相続人は、被相続人の長男と長女の2人。

 

長男が一人で相続した不動産(実家の土地や建物)の不動産評価額を8000万円とします。

長男は、一人で相続した不動産の「代償金」として、自身の相続分4000万円を引いた差額の4000万円を長女に支払います。

 

代償分割のメリット

・不動産(実家の土地や建物)を分割せずにそのまま残す事ができる

・他の相続人に「代償金」を支払うので、相続の割合(金額)に不公平は起きない

代償分割のデメリット

・他の相続人に支払う資金(代償金)を用意する必要がる

・評価額の為、代償金の額を巡って、相手と揉める事がある

代償分割が向いている相続

・不動産(実家の土地や建物)を分割せずに相続したい場合

・他の相続人に支払う代償金を用意できる場合

・相続人全員の理解や信頼が得られる相続の場合

 

3、換価分割(かんかぶんかつ)

換価分割

 

換価分割は、まず不動産などの「固定資産」を売却し分割しやすい現金に変えます。

 

固定資産の場合に効果的な分割方法です。

 

換価分割の例

相続人は、被相続人の長男と長女、次女の3人。

 

不動産(実家の土地や建物)売却後、手元に残る金額を6000万円とします。

この、6000万円を相続人3人で均等に分けます。

 

換価分割のメリット

・各相続人に法定相続分を公平に分配する事ができる

・代償分割と違い、評価額ではなく、売却額なので金額が明確である

換価分割のデメリット

・自分が住んでいた家を売った場合、住む所が無くなる

・不動産売却までに時間や費用が掛る

換価分割が向いている相続

・不動産を共有しないで均等に分割、分配する必要がある場合

・住んでいた土地や環境に執着する必要がない場合

・不動産売却までに時間や費用が掛かっても問題がない場合

 

4、共有分割(きょうゆうぶんかつ)

共有分割

 

共有分割とは、一つの土地を他の相続人と共有で相続し、所有する事です。

 

不動産の場合、そのままの状態で数人の相続人に分けるということはできませんので、相続人それぞれの持分に応じて「分筆」して分けたりします。

 

この場合、不動産は「筆」という単位で表され、この1筆の土地を2筆、3筆と分けていくのが分筆です。

 

共有分割分筆の例

長男と長女が被相続人の財産である1つの不動産を共同で所有することとします。

 

一つの土地(1筆)の共有の場合は必ず所有割合の持分が必要になるため、長男が1/2、長女が1/2といった具合に其々の持ち分を明確にします。

この段階では、1/2に分割すると決まっただけで、何処から何処までが其々の持ち分かハッキリしません。

家を建てるにしても、将来売却するにしてもこのままでは、都合が悪いので、1筆の土地を2筆に分ける必要があります。

登記を行いそれぞれ個人所有とし、共有物分割が完了します。

 

共有分割のメリット

・共有名義にする事で、売却しなくても、不動産を分割する事ができる。

共有分割のデメリット

・自分の持ち分(不動産)の処分には共有人全員の同意が必要

・所有者が死亡して相続が発生すると所有関係が複雑になる

・共有人全員分の登記の費用が必要になる

共有分割が向いている相続

・相続人全員の理解が得られる相続の場合

※次の相続まで影響してくる可能性が高いので、よほどの理由がない限り慎重に選択する必要があります。

 

まとめ

 

  • 相続で、分割が難しい不動産(固定資産)がそのほとんどを占める時は、相続紛争が起る確率が高くなる。

 

  • 遺産の分割方法にはそれぞれ、メリット、デメリットがある。

 

  • 自分の相続の状況や内容にあわせて、どの相続方法を選択、実行するかが、トラブルの無い相続の鍵になる。

 

と言う事でした。いかがでしたでしょうか?

 

遺産相続に不動産が関わる場合は、是非参考にしてみて下さい。

 

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