2017/07/23

相続の法的効力のある遺言とは?遺言を残す前にまず読むべきはコレ!

 

この記事を書いている人 - WRITER -

 

  • 「遺言に書いておくといい」
  • 「遺言に書いてある」
  • 「遺言を書かせる」

 

テレビなどでは「遺言」という言葉が出てくるので、遺言の存在自体は大人であれば多くの人が知っているのではないでしょうか。

 

しかし、いざ遺言を残そうと思うと、

 

  • ただ書いておくだけでいいのか?
  • どんなことができるのか?

 

など、具体的なことはよく分からないですよね。

 

遺言とは一体なんなのだろうか?そして実際に効力のある遺言とはどのようなものなのかを解説していきます。

 

遺言とは?

遺言書

 

国語辞典では遺言を調べてみると次のように書かれています。

 

遺言(ゆいごん)とは

[死を自覚した人が]死後の処置や戒めとすべきことなどについて身寄りの者などに言い残すこと(言葉)。[法律用語としては]いごん。

【三省堂 新明解国語辞典】

 

遺言には、2種類あります。

 

  • 死を自覚した人が残すものとしての広い意味を持つ(ゆいごん)
  • 法律的な意味を持つ(いごん)

 

どのような形でも死後の処理などを書いたものは広い意味でとらえると(ゆいごん)と言えるが、死を自覚した人が実際に必要とする遺言は法律的な意味を持つ(いごん)です。

 

遺言を残さなければ、通常の法律によって相続などが決まってしまう。遺言者はそれでは困るので、遺言を残して法律的に自分の望む形にしようとします。

 

逆に言うと法律通りの処理でいい場合は、特別に遺言を残す必要はなですよね。

 

では法律的な意味を持つ遺言とは、どのようなものなのでしょうか?

 

法的効力が認められる遺言とは?

遺言書

 

法律的な意味を持つ遺言についての一番根本的な部分について、民法が次のように定めています。

 

遺言の方式

遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

【民法960条】

 

つまり遺言の大前提として、「方式」が重要だということで、法律的な意味を持つ(いごん)としては、どのような方式で書いても良いわけではないんです。

 

その方式はどのようなものなのか?が気になるところですが、それについてはまた改めて詳しく書くことにします。

 

また、民法は遺言の効力の発生時期についても次のように定めています。

 

遺言の効力の発生時期

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

【民法985条】

 

民法で定める方式で遺言を残したとしても、その効力が発生するのはあくまで遺言者が死亡してからなんです。

 

法的効力の認められる遺言について大まかな部分が分かったところで、次に「遺言でできること」について知っておきましょう。

 

遺言でできる代表的な4つのこと

チェス

 

遺言によってできることは、細かく分けるとかなり種類がありますが、大きな分類で分けると次の4つです。

 

  1. 身分に関すること
  2. 相続に関すること
  3. 財産の処分に関すること
  4. その他

 

法律によってできることは、この4つに限られます。ではこの4つの内容についてもう少し詳しく知っておきましょう。

 

身分に関すること

 

身分に関することで代表的なものは「認知」です。

 

認知とは、法律上の夫婦関係にない子について、自分がその親であることを認める法律上の手続きのことです。

 

  • ドラマなどで、親の死後、突然隠し子が見つかるようなパターンがこれに当たります。

 

認知の方式

認知は、遺言によっても、することができる。

【民法781条2項】

 

相続に関すること

 

遺言では一番多いのが、この相続に関することではないでしょうか・・

 

相続に関することで代表的なものは、「相続分の指定」です。

 

  • ドラマなどで、長男には○%、長女には○%、次男には少しも渡さない、などがこのパターンに当たります。

 

多くの人間が関わり、揉め事になりそうなのが容易に想像できますよね。そのためか、相続に関する項目は多くあります。

 

遺言による相続分の指定

被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

【民法902条】

 

財産の処分に関すること

 

財産の処分に関して代表的なものは、「遺贈」です。

 

遺贈とは、遺言によって相続人以外の人に自分の財産の全部またはすべてを与えるこです。

 

  • 相続人以外に、生前お世話になった人や団体などに、財産を寄付するようなパターンがこれに当たります。

 

包括遺贈及び特定遺贈(ほうかついぞう・とくていいぞう)

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

【民法964条】

 

その他

 

その他についてはいくつかありますが、代表的なものに「遺言執行者の指定または指定の委託」というものがあります。。

 

誰が遺言の執行をするかを決めるもので、遺言の執行者は、未成年者と破産者以外は、誰でもなることができます。

 

遺言執行者の指定

遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

【民法1006条】

 

まとめ

 

法的効力のある遺言と、遺言でできることについて簡単に書きましたが、法律が絡んでくると、やはり少し複雑になってきます。

 

ここで少しざっくりと今回書いたことをまとめてみました。

 

  • 遺言には法的効力を持つものと、持たないものがある。
  • 法的効力を持つ遺言は、民法の定める方式に従って作成しなければならない。
  • 遺言の効力が発生するのは、遺言者が死亡してからである。
  • 遺言でできることは大きく分けて、4つである。

 

遺言についてもっと具体的に掘り下げていくと、かなり複雑になって頭がこんがらがってきますが、まずは上記のことをしっかりと頭に入れておきましょう。

 

生きているうちに遺言を残すのであれば、専門家にお願いすることをおすすめします。

 

でも自分である程度理解していると、進行速度が全然違いますので是非理解しておきましょう。

この記事を書いている人 - WRITER -
 

Copyright© 不動産大百科リペディア , 2017 All Rights Reserved.